Sitiera コンサート・イベント情報

2008年02月02日

volume 2. ピアノのメインテナンス

シティエラ ミュージックコラムの2話目となる今回は、ピアノのメインテナンスについて。
ピアノは私たちにとって最も身近な楽器のひとつですが、他の楽器同様に定期的なメインテナンスが必要です。私たち人間が病院に行ったり、疲れを取ったりするのと同じなんです。

ピアノのメインテナンスには調律や整音、修理などがありますが、今回はグランドピアノの調律と整音について主にお伝えしていきます。

まずは響板や譜面立ての下など、目に付く部分のクリーニングです。
そしてアクションと呼ばれる鍵盤からハンマーにかけての部分を取り外し、クリーニング。
練習だけでなくレッスンなどにも使う場合、思わぬ落し物や意外な量の埃がたまっていることがあります。

aps1.jpg

次はいよいよ調律。正しい音程に合わせる、いわゆるチューニングという作業のことです。
グランドピアノには約230本もの弦が張られており、場所によって1つの音を2本または3本の弦で鳴らしています。全体の張力は約20t!ものすごい力がかかっているんですね。

鍵盤のもう少し奥、ちょうど譜面立ての下あたりに、弦の一端を巻きつけているチューニングピンが取り付けられています。

aps2.jpg

このピンを、チューニングハンマーを使って締めたり緩めたりしてチューニングします。

ピンには締める時にねじれが発生しますが、そのねじれが戻ろうとする分を計算して、少し高い音程からジャストの音程に合わせていきます。
筆者も少しだけ体験させていただきましたが、手にかける力加減が非常に微妙で、この感覚をスピーディーに出すことは本当にプロの技だと実感しました。
また、「1つの音に対して張られている2~3本の弦のうち、どの弦からチューニングするか」や「高音部や低音部を実際の音程よりもほんの僅かずらすこと」によって、トータルで出てくるピアノの音が大きく変わるそうで、調律師さんの特色や個性がよくあらわれるそうです。


耳と手を駆使して調律を行った後、今度は音色や鍵盤のタッチを整える整音を行います。
実際に鍵盤を鳴らしながら、音色・音質が硬すぎたり目立ちすぎたりする部分を見つけ、チョークでチェックを入れていきます。
そしてハンマーのフェルト部分に、ピッカーという先端に針の付いた道具で突き刺していき、フェルトのやわらかさ=打弦のやわらかさを調整します。
ピッカーを刺す場所や刺し加減によって、出てくる音色が大きく変化します。
また針刺し以外にも、ファイリングといってやすりでフェルトを整形しなおす作業を行うこともあります。

aps3.jpg aps4.jpg

今回の調律・整音により、シティエラのレッスンスタジオのピアノは改めて生き生きとした音に回復してくれました。他にも、ダンパーペダルの動きに伴う異音も探し出して修理していただきました(ピアノ内部、アクション奥からの異音でした)。

優れた技術と適切な道具をもってピアノを生き返らせる仕事は、まさに”芸術”と言えます!

aps6.jpg


取材協力/ 宮原 修 ( Artistic Piano Service)
Tel 099.265.3345